家が浸水したらすぐ片付けていい?写真を撮る理由と最初にやること
大雨で家の中まで水が入ってきたら、まず何をすればいいのでしょうか。
泥だらけの床や水につかった家具を目の前にしたら、「早く片付けなければ」と思うのが普通だと思います。
でも、すぐに掃除を始める前にやっておきたいことがあります。
浸水したら、片付ける前にまず写真。
家や部屋の全体、水につかった高さ、濡れた家具や家電など、被害の状況が分かる写真をスマホで残してから片付けを始めます。
今回、私が暮らす千葉県成田市の周辺でも大雨による浸水被害がありました。
夫が普段利用する印旛沼方面でも道路が冠水し、いつもの道を通れない状況に。テレビでは浸水した住宅の映像とともに、片付ける前に被害の写真を撮っておくことが大切だと伝えられていました。
でも、自分の家が実際に水につかったら、冷静に写真を撮る余裕があるでしょうか。
私だったら、濡れた物を外へ出したり、泥を何とかしようとしたり、先に手が動いてしまう気がします。
だからこそ、被害に遭う前から「片付ける前に写真」と覚えておきたいと思いました。
家が浸水したら、片付ける前に何を撮ればいい?
成田市では今回の台風25号による被害を受けた人に向けて、片付けや修理をする前に被害状況を写真に撮って記録するよう案内しています。
写真は、罹災証明書の申請などで被害状況を確認する資料になる場合があります。
ただ何枚か撮るだけではなく、「どこが、どのくらい被害を受けたのか」が分かるように残すことがポイントです。
たとえば、次のような写真を残しておきます。
・建物の外から家全体が分かる写真
・部屋全体と被害を受けた場所
・床や壁に残っている浸水の跡
・水につかった家具や家電
・壊れた部分の全体とアップ
特に大切なのが、水がどこまで上がったのか分かる写真です。
成田市では、浸水した場合は定規などを壁に当て、浸水した高さが分かるように撮影する方法を案内しています。
近くから撮った写真だけでは被害の場所や広がりが分かりにくいこともあります。
「部屋全体が分かる写真」と「被害部分がよく見える写真」の両方を残しておくと、あとから状況を確認しやすくなります。
なぜ片付ける前の写真が大切なの?
理由はとても単純です。
一度片付けてしまうと、元の被害状況には戻せないからです。
泥を洗い流したり、水につかった家具を処分したり、壊れた床や壁を修理したりすると、あとから「どこまで水が来ていたのか」「どの程度壊れていたのか」が分かりにくくなります。
成田市では、水害を受けた住宅について、写真から浸水の深さを確認できる場合には、現地調査を省略して写真で被害程度を判定できるケースも案内しています。
もちろん、すべてのケースが写真だけで判定されるわけではありません。
それでも、被害の状態をそのまま残した写真は、あとから撮り直すことができない大切な記録です。
「片付けたい」と思ったら、その前にスマホを手に取る。
まずはこれを覚えておきたいところです。
写真を撮ったあとは、どこから片付ける?
写真を残したら、いきなり家具を動かすのではなく、まず周囲の安全を確認します。
浸水した家では、電気設備や家電が水につかっている可能性があります。水につかった電気製品をむやみに触ったり、自分の判断だけで電源を入れたりするのは避けましょう。
安全に作業できることを確認してから、窓やドアを開けて換気し、泥や汚れを取り除いていきます。
厚生労働省は、浸水した家屋では清掃と乾燥が重要と案内しています。
泥の中には、ガラス片や釘などが混ざっている可能性もあります。
片付けるときは素手やサンダルを避け、手袋、底の厚い靴、マスクなどを着用して、けがやほこりの吸い込みにも注意します。
何から始めるか迷ったら、
写真を撮る → 安全を確認する → 換気する → 泥や汚れを取り除く → 清掃する → 十分に乾燥させる
という順番を一つの目安にすると分かりやすいでしょう。
家中を一日で元通りにしようとせず、安全を優先して少しずつ進めることも大切です。
浸水した家は、すぐ消毒したほうがいい?
浸水したと聞くと、「菌が心配だから、とりあえず消毒しよう」と考えるかもしれません。
ところが、最初にすることは消毒ではありません。
厚生労働省では、家屋が浸水した場合、まず土砂を取り除き、十分に清掃して乾燥させることが重要としています。
汚れが残ったままでは、消毒しても十分な効果を得られないことがあります。
そのため、まず清掃と乾燥。そのうえで必要に応じて消毒と考えると分かりやすいでしょう。
使用する消毒薬や方法は場所や汚れの状態によって異なります。分からない場合は自己判断で大量の薬剤を使わず、自治体などに確認します。
罹災証明書と火災保険は同じものではない
写真を撮る理由として、罹災証明書と保険を一緒に考えてしまうことがありますが、この二つは別の手続きです。
罹災証明書は、自治体が住んでいる家の被害程度を証明するもので、被災者向けの支援制度などを利用するときに必要になる場合があります。
一方、火災保険などの保険金請求は、加入している保険会社との手続きです。
日本損害保険協会では、損害保険の保険金請求に自治体の罹災証明書は原則として必要ないと案内しています。
また、火災保険に入っていれば、どんな浸水被害でも必ず補償されるわけではありません。水災補償の有無など、契約内容によって補償される範囲は異なります。
被害を受けた場合は、自分で修理を決めてしまう前に、加入している保険会社や代理店にも確認しておくと安心です。
災害後には「保険を使えば無料で修理できる」などと言って契約を勧める業者とのトラブルもあります。
被災直後は気持ちにも余裕がなくなりやすいので、その場ですぐ契約せず、内容を確認してから判断しましょう。
浸水したら「片付ける前に、まず写真」を覚えておきたい
自分の家が突然水につかったら、落ち着いて行動するのは簡単ではないと思います。
泥だらけになった部屋を見たら、私でもスマホより先に雑巾やゴミ袋を探してしまいそうです。
だから今回、身近な地域で浸水被害が起きたのを見て、一つだけ覚えておこうと思いました。
片付ける前に、まず写真。
家や部屋の全体、水がどこまで来たのか分かる場所、濡れた家具や家電、壊れた部分を記録してから、安全を確認して片付けを始めます。
写真なら数分で撮れます。
でも、きれいに片付けたあとで「被害を受けた直後の状態を撮っておけばよかった」と思っても、もう同じ写真は撮れません。
大雨や台風は、いつ自分の暮らす地域で起きるか分かりません。
もしものときに全部の手順を思い出せなくても、まずは「片付ける前に写真」。
それだけでも覚えておきたいと思います。
今回調べる中で参考にしたもの
・成田市「罹災証明書・罹災届出証明書が必要な方へ(台風25号)」
・厚生労働省「被災した家屋での感染症対策」
・厚生労働省「一般家屋や食品営業施設における浸水後の消毒の相談について」
・一般社団法人 日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険について」


